ぽえむん「マユの朝」
2012年10月17日
裏山から鳥たちのにぎやかな鳴き声が聞こえる
今日も
村に朝がきた
いつもと変わらない朝
いつも新しい朝
今日はお祭りの日
お昼からお母さんがつくってくれたハレの日のキレイなお祝いの服をつけて
いっぱい飾り物をつけるの
私の一番お気に入りの腕環はひいお祖母ちゃんがつけてたもので
ひいおばあちゃんよりも古い古い大切な腕輪
お母さんが「今日はご馳走をつくるから手伝ってね」というから
私は早くお手伝いが終わるといいなと思いながら、お母さんに従う
あちこちからお祝いの歌が聞こえる
“今日の誇らしい日はいつよりもまさっていておめでたい
いつも今日のようにあってください”
私はお祝いの歌が大好き
村では歌が上手な女性はとってもあこがれ
もちろん、うちのおかあさんもとっても歌が上手
とっても歌が上手だった
従姉妹のサチねえさんが
ある日 村長様に呼ばれて
大きな町につれていかれた
サチねえさんは帰ってこなかった
お母さんに「サチねえさんはどこにいったの?」ときいたら
えらい神様になったという
歌がとっても好きだったサチねえさん
私はいつもサチねえさんの祈りの歌を聞くのが大好きで
サチねえさんはいつも川の歌とか鳥の歌とか
風の歌とか花の歌とか歌ってくれた
お手伝いをしながら、サチねえさんの歌のことをお母さんに言ったら
「あの子は、とっても歌が上手だったから、これからは、この国で一番偉い神様のために歌を歌うんだよ
それは私たち一族にとってもとっても誇らしいことだし、この国のためになることなんだよ」
でも、お母さんは、なぜそんなさびしそうな目をしてるんだろう
お手伝いが終わって、
いそいでお母さんはお父さんやお兄さんやおとうとたちを先にお祭りに送りだして、
私もお母さんにキレイにしてもらって、
お母さんもいそいで自分でキレイにして、
お母さんの動きはいつも魔法のように早くてキレイ
お祭りにいくと、
村のおんなのひとはみんなキレイだった
お友達もみんなキレイで、
みんなでたがいに「キレイだね、その飾りも素敵ね」と褒めあった
いくらほめてもたりないくらい、みんなキレイ
でも、やさしかったサチねえさんがいないのがすこしさびしくて
でも、それは何故か言ってはいけない気がして黙ってた
お祭りのときに、村長さまが、サチねえさんのことを言った
この村の娘が、この国で一番偉い神様にお仕えすることを許された
この村にとって、すごくすごく名誉なことで
この村の一族の由来から考えても、いつかこのような機会を賜ることを望んでいたから、
本当にうれしいと
あと、村にかかる税がなくなるとか、サチねえさんのおうちにお祝いの宝物がたくさん届けられるとか
そんなお話もあったけれど、
わたしはサチねえさんが一番偉い神様にお仕えするということが、すごく印象的で、
お母さんにきいてみた
「お母さん、私も神様のところにいけるかなぁ」
お母さんは、「歌が上手なだけじゃいけないのよ」と笑ったけど
「この国で一番偉い神様にお仕えするということは、大変なことなのよ」
「お前は、この村とお父さんやおにいさんやおとうとたちのために祈りの歌を歌っておくれ」
と、お母さんが頭を撫でてくれた
神様
かみさま
サチねえさんがいつまでも元気で
神様にお仕えすることができますように
サチねえさんの川の歌が大好きだったから
私もサチねえさんみたいに歌が上手になれるかな
神様
かみさま
どうかこの村とおとうさんやおかあさんやおにいさんやおとうとたちを、守ってください
いつよりもまさる
この誇らしいすばらしい日が、
どうか、いつまでもいつまでも、つづきますように

にほんブログ村

にほんブログ村
今日も
村に朝がきた
いつもと変わらない朝
いつも新しい朝
今日はお祭りの日
お昼からお母さんがつくってくれたハレの日のキレイなお祝いの服をつけて
いっぱい飾り物をつけるの
私の一番お気に入りの腕環はひいお祖母ちゃんがつけてたもので
ひいおばあちゃんよりも古い古い大切な腕輪
お母さんが「今日はご馳走をつくるから手伝ってね」というから
私は早くお手伝いが終わるといいなと思いながら、お母さんに従う
あちこちからお祝いの歌が聞こえる
“今日の誇らしい日はいつよりもまさっていておめでたい
いつも今日のようにあってください”
私はお祝いの歌が大好き
村では歌が上手な女性はとってもあこがれ
もちろん、うちのおかあさんもとっても歌が上手
とっても歌が上手だった
従姉妹のサチねえさんが
ある日 村長様に呼ばれて
大きな町につれていかれた
サチねえさんは帰ってこなかった
お母さんに「サチねえさんはどこにいったの?」ときいたら
えらい神様になったという
歌がとっても好きだったサチねえさん
私はいつもサチねえさんの祈りの歌を聞くのが大好きで
サチねえさんはいつも川の歌とか鳥の歌とか
風の歌とか花の歌とか歌ってくれた
お手伝いをしながら、サチねえさんの歌のことをお母さんに言ったら
「あの子は、とっても歌が上手だったから、これからは、この国で一番偉い神様のために歌を歌うんだよ
それは私たち一族にとってもとっても誇らしいことだし、この国のためになることなんだよ」
でも、お母さんは、なぜそんなさびしそうな目をしてるんだろう
お手伝いが終わって、
いそいでお母さんはお父さんやお兄さんやおとうとたちを先にお祭りに送りだして、
私もお母さんにキレイにしてもらって、
お母さんもいそいで自分でキレイにして、
お母さんの動きはいつも魔法のように早くてキレイ
お祭りにいくと、
村のおんなのひとはみんなキレイだった
お友達もみんなキレイで、
みんなでたがいに「キレイだね、その飾りも素敵ね」と褒めあった
いくらほめてもたりないくらい、みんなキレイ
でも、やさしかったサチねえさんがいないのがすこしさびしくて
でも、それは何故か言ってはいけない気がして黙ってた
お祭りのときに、村長さまが、サチねえさんのことを言った
この村の娘が、この国で一番偉い神様にお仕えすることを許された
この村にとって、すごくすごく名誉なことで
この村の一族の由来から考えても、いつかこのような機会を賜ることを望んでいたから、
本当にうれしいと
あと、村にかかる税がなくなるとか、サチねえさんのおうちにお祝いの宝物がたくさん届けられるとか
そんなお話もあったけれど、
わたしはサチねえさんが一番偉い神様にお仕えするということが、すごく印象的で、
お母さんにきいてみた
「お母さん、私も神様のところにいけるかなぁ」
お母さんは、「歌が上手なだけじゃいけないのよ」と笑ったけど
「この国で一番偉い神様にお仕えするということは、大変なことなのよ」
「お前は、この村とお父さんやおにいさんやおとうとたちのために祈りの歌を歌っておくれ」
と、お母さんが頭を撫でてくれた
神様
かみさま
サチねえさんがいつまでも元気で
神様にお仕えすることができますように
サチねえさんの川の歌が大好きだったから
私もサチねえさんみたいに歌が上手になれるかな
神様
かみさま
どうかこの村とおとうさんやおかあさんやおにいさんやおとうとたちを、守ってください
いつよりもまさる
この誇らしいすばらしい日が、
どうか、いつまでもいつまでも、つづきますように

にほんブログ村

にほんブログ村