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東日本大震災で知った、本当に大切なモノとは?~あるお客様のお話

2014年08月22日

これは、昨日こられた、あるお客様のお話です。

(お客様よりブログ掲載ご了承済み)



昨日のお客様。二年前に長年住んでいた東北某県某市から帰郷された女性。

住んでおられた某県某市で、東日本大震災の激しい揺れに遭遇する。

住んでおられた地域こそ津波被害はなかったものの、すさまじい揺れと、その直後より数日間、すべてのライフラインが止まる、身近な方が亡くなるなどの体験から、

「自分にとって何が大事なのか」

「お金や安定した生活など、明日には無くなるかもしれない、ではすべてを失っても後悔しないために今何をすべきか」

という考えにいたり、

郷里に残した老母の傍にいてやりたいと、数十年ぶりに奄美に帰ってきたのだそうです。




「おそらく体験した人間でないと分からないと思いますが」と前置きされたうえで、

「あの経験がなければ、私はおそらく奄美には帰らなかったかもしれません。
あそこではそこそこ収入もありましたし。
でも、そんな自由で居心地のいい暮らしなんか、明日にはなんの価値もなくなる経験をしたら、
本当に自分にとって必要なのは何か、考えてしまったんです」

「そうしたら、やはり、郷里で一人ぼっちで暮らしてる母のことが真っ先に思い出されて・・・・
それで、奄美に帰ってきました。
いま生活は苦しいけど、後悔はないです。
母の最期を看取ってあげたいですから」



このお話をうかがい、思わず目頭が熱くなりました。

何も考えずに数十年、自分の自由きままな生活で充分だと思っていたお客様の人生観を、

そこまで変えた経験とは、どれほどの重いものだったのかと。



「私は病院関係の人間なんですが、ああいうときに、人の本性が見えるんですね。
いろんな人がいましたけど、一番忘れられないのは、震災の瞬間でした。」

「私は補佐の子と二人で患者さんのお世話をしてたんですが、
ものすごい大きな揺れが数分間ずっと続いて、この世の終わりかと思いながら、
それでも必死になって、患者さんのベッドを押さえつけてました。
本当にすごい揺れで、患者さんがベッドから振り落とされまいと必死でした」

「そしたら、私の補佐をしてた、まだ若い20代前半の女の子が、すかさず、患者さんの頭に覆いかぶさったんです」

(アマミキョ注・患者さんの、布団で覆われていない部位をとっさにかばったということ。
地震の影響で天井板が落下する可能性をその子は瞬時に考えた)

「あれを見て、私は本当に、人というものは表面だけで判断してはいけないんだと思いました。
その子は普段はまったく目立たない子で、コツコツと仕事をするタイプだったんですが、
まさか、あんな行動ができる子だなんて思わなかった。
あれを見て、人を見る目がすごく変わりました」

「あの一ヶ月は、本当に不安でした。
3月の東北で、電気もガスも水道も止まる。本当に凍死の危険と隣り合わせでした。
地震の直後からみんなを襲った不安は、やっぱり食べ物のことですね。何も食べるものがない。明日からどうしよう。
周りは夜になると真っ暗で、(電気がとまってるので街中明かりがどこにもない)、
道路はあちこちひび割れたりお水が吹き出したりしてるので車も走れない。
私は思い出したんです。たしかアパートに食パンがあったはず。
周りのみんなには「外は真っ暗だし余震があるから危ない」と外出を止められたんですが、
私はとうとう、真っ暗ななか、徒歩でアパートの自分の部屋に戻ってみました。
そうしましたら、冷蔵庫に、朝食用の食パンが3枚とマーガリンが残ってました。
それを見たとき、なんて説明したらいいか分からないんですが、とっても安心しました。本当にほっとしたんです。
真っ暗ななかで食パンにマーガリンを塗って食べたら、その美味しかったこと。
残りの二枚は、職場に持って行って、お腹がすいたときに少しずつ食べました。
あれから本格的な救援がいただけるまでの数日間、不思議なことに、ほとんどお腹がすかなかったんです。
一日おにぎり一個というなかで、少しずつの食パンがあったおかげで、すごく心が落ち着けました。
あれがなかったら、きっと、私はすごく不安でたまらなかったと思います。
あの3枚の食パンのおかげなんです。
あの食パンとマーガリンに本当に救われました」

「私の住んでいた地域は大きな被害はなかったんですが、市内では、大きな津波被害を受けた地域もありました。
なので、決して無関係ではありませんでした。
昨日までお見舞いに来ておられた患者さんのご家族がいなくなる、患者さんが帰る家を失う。
多くの方が深く傷ついていました。
心を病んでしまわれた方もたくさんおられました。
そんな経験をしたら、生きてるうちに悔いのないことをしなきゃってお思いました。
そうしたら、奄美に一人のこした母を思い出しました。
あれがあったから、私は奄美に帰ってこれたんです。
そう考えると、本当にすごい経験なんですよね・・・・・・」




大きな災害の恐怖を経験されたお客様が、

その後の人生に選ばれたのは、

「親孝行」

でした。





本当に大切なモノとは何か。

明日、すべてが失われるかもしれない。

お金も平穏な暮らしも自由気ままな生活も、すべて一瞬で無くなるかもしれない。

そのような未来を垣間見たときに、

本当に自分がしたいことは何か。

本当に寄り添うべき人とは誰なのか。

自分が本当に大切だと思うものは何か。

自分が本当にすべきこととはなんなのか。




この問いかけは、

多くの迷いを断ち切る真実への道を教えてくださるように感じます。






東日本大震災で被災されたすべての皆様の痛みや悲しみが安んじられますことを、心よりお祈りさせていただきます。



















  


Posted by アマミちゃん(野崎りの) at 11:18Comments(0)仕事