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絆  隊長の投稿話(再掲載)

2011年07月18日

ご本人のご許可をいただいたので、ここに転載させていただきます。
隊長、ありがとうございます。m(_ _)m

信仰の奇跡とは、心の奇跡でもあるんですね。











[絆]
眷属さんからの投稿




さる石油系企業の御夫婦から聞いた話です。

A氏は某石油採掘権売買商社の敏腕社員でした。

両親は神社の神職でしたが、あまり真面目に信仰する事もなく、就職から会社関係の方と結婚。一粒種の愛娘を授かったそうです。

仕事柄家庭を顧みず、日本語を忘れてしまう程の海外単身赴任がおおかったそうです。

やがて娘さんは高校を卒業後アメリカの有名校に通う段になったそうです。

母親はついていきたかったようですが、寮生であり、また子供ではないのだからほっといてくれと、母親を退けたそうです。

A氏は自分に似て行動的な娘と讚美し、寮生活を許可したそうです。

学生時代はかなり乱れた生活を繰り返したようです。

元来放任と云う名の放置に近い育てられ方をしていたため、我が強く、両親の愛にも飢えていたのではないかと思い返すそうです。

やがて月日は流れ、大学から院へ。修士課程を経て、日本に帰ってきたそうです。

約6年のアメリカ生活、彼女にとっては充実していたのかも知れません。

日本に帰り、結婚を勧められ、優しく頼りがいのある男性の紹介を受けたそうです。

話はトントン拍子な進み、婚約までこぎつけました。

その間、父親であるA氏は相変わらずの多忙ぶりで、母親にほぼまかせっきり状態。

それでも、良縁なのだからと一生懸命に勧めたそうです。

一方、娘さんには一つ気になる事があったようです。当時猛威をふるっていたB型肝炎です。

学生時代の素行を考えれば、感染していてもなんら不思議ではない。妊娠時に検査もあるのですが先を見越し検査を受けたそうです。

結果はB型肝炎でこそなかったのですが、さらに重い後天性免疫不全症候群に感染している事が明らかになったそうです。

愕然とし絶望した彼女が、婚前交渉のあった婚約者に相談したのは当然の成り行きでした。

世間知らずに育った彼女は、当然彼が労り、心配し、共に考えてくれると頑なに信じたのでしょう。現実は残酷なものです。激怒した彼から散々罵られたのはいうまでもありません。

母親は父が悪いと泣きじゃくるだけ。急な事に父親は不在。ただ絶望だけが彼女を飲み込んだのでした。

確実にやってくる死への恐怖…愛するものからの仕打ち…信頼すべき身内の無力さ…

絶望が全てを飲み込むのに大した時間はかからなかった事でしょう。

やがて父親であるA氏が出張先から帰ってきました。

夫婦の会話はお互いの責任の擦り合いだったそうです。

A氏は自身の両親の許に行き、老神主(祖父 )に事の顛末を語りました。

絶望にひれ伏した息子に、老神主は云われたそうです。「まだなにもはじまっとらん」

老神主は孫娘を神社に連れ帰りました。

孫娘は躊躇しました。「私は穢れているからここにはこれない…」力なく投げ遣りに答える孫娘に、深く優しい言葉で、老神主は話し掛けました。

「この世に生を受けた者で罪や穢れのないものなどいやしない。神前はそんな罪穢れを祓う場所でもあるんだよ」

老神主は自身にさえ染み渡るかのように、ゆっくりと力強く語って聞かせたそうです。

幾日か経過するなか、神道の教えを孫娘に聞かせる日々、孫娘はなおも云います。「さほど長くない残りの人生なのに、あらゆる事が虚しく無駄なのではないか」と。

祖父は答えたそうです。「魂は不変であり、死後も存在し続ける。生前の与えられた時間は何人のものでもなく本人のものである。どれだけ生きたかではなく、どのように生きたかが、時間に優る人生の深さだ」と。

そして第二の人生を彼女は歩みだしました。

身体は病気の発症により、日に日に弱りはじめましたが、霊性は日に日に向上していきました。

何度か祭式にも奉仕し、充実した日々を送る事は出来ましたが、病を克服するまでにはいたらず、とうとう病院の床に伏せる日々が訪れました。

不思議と気持ちは穏やかでした。

明らかに違う感情は、これだけ悲惨な状況にありながらも日々感謝している自分を見つけた事でした。

私を生んでくれたおかげで人生の尊さ感謝を教えてくれた母に感謝です、遠巻きながら私を暖かく見守ってくれた父親に感謝です、我が儘放題で好き勝手な私に人生の感謝を教えてくれた祖父に感謝です。

数週間後彼女は他界しました。両親に愛の尊さを教え人生の時間にではなく内容に充実を与え、私はこの話を聞き涙しました。

A氏は今神社を継承して神職をしています。人々に愛と感謝を語る語りべとして。







Posted by アマミちゃん(野崎りの) at 12:24│Comments(0)
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